はじめに

どうも、はま屋のはまと申します。
はまさんとか、はまじいとかじじいとか呼ばれております。
僕についての紹介ははま屋まんがをご参考ください。

かなりのラッキーにより、2014年度のワールドマジックカップの 日本代表の一人に選ばれました。
ワールドマジックカップとは、世界中から各国の代表4名で構成されたチーム同士が
各国の威信をかけて団体戦を戦う大会です。



今年のフォーマットは、去年と一緒で、チームリミテッドとチームスタンダードの混合フォーマットです。
チームリミテッドもチームスタンダードも普通では聞きなれないと思いますので補足いたしますと、
チームリミテッドは12パックのブースターから3つのデッキを作り上げ戦うリミテッド戦です。
今回はタルキール覇王譚のブースターパックを使用します。
チームスタンダードは、スタンダードで使えるカードを使って3つのデッキを作り戦う構築戦です。
ただし3つのデッキで使える同名のカードは合計で4枚までという制限があります。
1つ目のデッキで包囲サイを4枚使った場合、2つ目3つ目では1枚も使用できません。

この2種類のフォーマットを3人+1人で戦います。
ワールドマジックカップでは、実際デッキを用いて戦うのは3人ですが
4人目はコーチ役として各人に対してアドバイスをすることができます。
この4人目の役割が鍵となってくるわけですが、それは追々説明していきます。


ともかくワールドマジックカップってのは4人で2つの団体戦フォーマットを戦う国別対抗戦で、
なんだか難しそうだけど(見てる分には)面白そうって事です!


そんな2つのフォーマットのうちの1つのチームスタンダード。
そのチームスタンダードで、2014年度の日本代表が使うデッキが
どのようにして決まったかをお届けするのがこの記事の趣旨となります。

2014年代表メンバーのご紹介




まずは我らがキャプテン 渡辺雄也さん。(写真中央左)
特に紹介するまでもなく名実共に日本のトッププロ。
実績・実力共に申し分ないキャプテンなのですが、世界選手権にも参加が予定されており、
ワールドカップも入れると合計6フォーマットをやらないといけないのが悩みの種。
(世界選手権はスタンダード、モダン、タルキールドラフト、VMSドラフトとこれまた多岐に渡る大会なのです)
そんな中でも世界選手権でも好成績を残し、TOP4に入っています。
さすがすぎる。

続いて東京予選を勝ち上がったアリャビマ・A・ラーマンさん。(写真左)
かつてGP名古屋2012で決勝で惜しくも敗れてしまったものの
そのTシャツとデッキで一躍有名になったインドネシア出身の方です。
東京予選もボロスバーンで駆け抜けたアグロデッキの申し子です。

そして、大阪予選を抜けた清永翔さん。(写真中央右)
前回のタルキール覇王譚のPTQを抜け、直近のPTQでも安定してTOP8に残っている静岡の強豪です。
僕が抜けた名古屋の時は同日同場所開催の某握手会に並んでいたとかいないとか。


日本代表と一言に言っても、
みなさん住んでいる地域はバラバラで、集まっての練習というのは中々難しいのが現実です。
幸い今回は皆さん関東周辺に住んでいたので比較的集まりやすく、
2回の団体練習をすることができました。

1回目は晴れる屋さんで、もう1回ははま屋の松本店で。

晴れる屋さんでの団体練習

晴れる屋さんでの練習は11月8日(土)、11月9日(日)で行われました。
プロツアーから1ヶ月ほど経ち、世間的なメタゲームもある程度決まってきた頃で、
Tier1としては、アブザン(アグロ・ミッドレンジ・リアニ系)、マルドゥが挙げられ
プロツアーで多数いたジェスカイアグロは、アブザン・マルドゥの隆盛で数を減らし、Tier2以下に。
かわりにティムールや青黒コン、青白ヒロイックと言った
アブザンに有利なデッキが数を増やしてきた時期です。

ただ、まだ本番まで時間があることと、チームリミテッドのほうが大変そうという理由で
晴れる屋さんではほとんどの時間をチームリミテッドに使いました。
(※チームリミテッドの練習については、別の記事でご紹介する予定です)

少しの時間しかチームスタンダードには割けなかったのですが、
簡単に話し合って大きく分けて2つのデッキ構成案があげられました。


A案:①ジェスカイ ②アブザン系 ③何か
B案:①マルドゥ ②アブザン系 ③何か

ナベさんが世界選手権でジェスカイを使うため、WMCでも同じデッキを使うと仮定した場合のA案。
ジェスカイというデッキが余りに色々なカードを使うため、
他のデッキ構築が難しくなるので、ジェスカイを使わないとした場合のB案、といったところです。

どちらの場合も③の何かをどうするかが課題でして。
A案の③候補としては、こんな感じ。

・稲妻の一撃の使えないティムール
・道の探求者と溢れかえる岸辺の使えない青白ヒロイック
・ゴブリンの熟練扇動者とかき立てる炎の使えない赤単
・緑単もしくは赤緑の信心デッキ

なんというパッとしないラインナップ・・

この中では一番マシに見えるティムールが第1候補だったのですが
仮組みして何回かやった感じで

・土地が痛い
・痛いわりに青いカードでまともなのが凶暴な殴打者しかいない
・そもそもデッキの強さが疑問
・後手を踏んだときにまくるカードが無い

という意見が出て、これはないなと。
そんなところでタイムアップ。

続きは松本で行われる予定の第2回の全体練習に委ねられました。

はま屋松本店での団体練習

2度目の団体練習は、11月22日(土)、23日(日)、24日(火)の2泊3日で、
長野県にあるはま屋松本店で行われました。
(※22日は松本店でPTQが開催されていたため、実際練習は23日、24日がメインでした)

近くの宿を取りますよ?と声をかけたものの、
なぜかみんな、はま屋の2Fに泊まることになり、 本当に強化合宿っぽくなったわけです。
(※この時期の松本の寒さを伝え切れなかった僕のミスです)

力尽きるまでマジックし、寝て起きてまたマジック。

その間みんなで銭湯行ったり、ご飯を一緒に食べたりで 大分仲良くなれたのは良かったですね。
裸の付き合いってやつです。



で、チームスタンダードのデッキはというと。
前回ジェスカイを使うA案と使わないB案がありましたが、
ジェスカイ以外のデッキ選択をするとナベさんに負担がよりかかるため
(チームスタンダードと世界選手権のスタンダードのデッキが違ってくるので)
ジェスカイを使うA案で行こうとなりました。

ジェスカイを使う前提で他の2つのデッキを検討し、
今回の合宿終了時までにはそれらのデッキを決めるところまでを 合宿のゴールとしようと。

ゴールは決まったのですが、結局のところ3つ目のデッキ選択で詰まります。
前回の第2候補だった青白ヒロイックが、どうもデッキパワーが足りないんじゃないかという話になり、
はじける破滅のあるマルドゥが最近流行っていることもありできれば避けたいと。

実際青白ヒロイックとマルドゥで朝4時ぐらいまで
ナベさんとアリャビマさんが対戦していたらしいのですが、 「虐殺だった」と。

岩への繋ぎ止め→キツイ
各種火力→キツイ
軍族童の突発→キツイ
軍族の解体者→キツイ
はじける破滅→GAME OVER

・・・合掌。

そこで新たにナベさんから提案されたのが、
前回土地の痛かったティムールから青を抜いた赤緑アグロでした。

□赤緑アグロ サンプルリスト

生物 29
4 エルフの神秘家/Elvish Mystic
4 荒野の後継者 / Heir_of_the_Wilds
4 ゼナゴスの狂信者/Fanatic of Xenagos
4 世界を喰らう者、ポルクラノス
4 爪鳴らしの神秘家/Rattleclaw Mystic
2 灰雲のフェニックス/Ashcloud Phoenix
3 嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon
4 加護のサテュロス/Boon Satyr

スペル 8
2 紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster
4 火口の爪/Crater's Claws
2 龍語りのサルカン/Sarkhan, the Dragonspeaker

土地
7 森/Forest
7 山/Mountain
4 樹木茂る山麓/Wooded Foothills
4 奔放の神殿/Temple of Abandon
1 マナの合流点/Mana Confluence

まわしてみると、悪くはなさそう。というのが第一印象でした。
ゼナゴスの狂信者が思ったよりカードで、
素でトランプルを持っているのでトークンでブロックされにくかったり
パワー4になることで荒野の覚醒者との相性も良いと。

ただ、痛くないティムールといった感じで、
もともとティムールに感じていた後手を踏んだときにまくるカードのなさや、デッキ的な弱さは変わらず残る。
まぁラブルマスターも稲妻の一撃も入っていないこのデッキが強いわけはないんですよね・・

こ、困った・・

赤緑以外の選択肢を模索していたものの、残念ながらタイムオーバー。
普通なら「まぁしゃあないね。一応各自で考えつつ、赤緑を使う方向で行こう」となりそうなもんですが、
責任感が強く妥協を許さないキャプテンが日本代表チームにはいたんです。

時間切れの状況で一言
「残業します。」と。

こうして清永さん、アリャビマさんは仕事があるため帰らなければいけませんでしたが、
まさかのデッキ決定のための合宿延長(残業)が決まりました。

僕もナベさんもここ数日ろくに寝ておらずお互い満身創痍でしたが、
このままデッキを妥協してなるものかというナベさんの強い意志で まさかのロスタイムが始まるのでした。

山梨でのロスタイム

ナベさんがデッキ決定のための残業を決めた時僕には1つの考えが浮かんでいました。
そして、こんな提案をしました。
「山梨で調整しませんか?」と。

ナベさんとしてはただでさえ時間が無いのに何故山梨に移動??
はまさん疲れすぎてやられちゃったの??
と思ったに違いありません。
でも僕の無理やりな説得に応じてくれて一路山梨へ行くことに。
時刻は月曜日の21時ぐらいでした。



ここでちょっと話題を変えますが、
山梨MTGプレイヤーに山梨で一番PWPが多いのは誰?と聞いたら、ほぼ僕の名前が出るでしょう。
実際今期のPWPは2位に5倍ぐらいの差をつけての1位ですから。
ただ、山梨で一番強いのは誰?と聞いたら僕ではない男の名前が出るはずです。

その名前は俊樹。
僕の友人にして、はま屋の店員であり、エタフェス2013のチャンプでもある
僕の知り合いで一番強いプレイヤーです。

最近は結構スタンダードもやっていることを知っていたので、
力になってくれるんじゃないかと思って、わざわざナベさんを 連れてきたのです。

で、
話を始めて10分ぐらいで、
現在の僕らの問題点を理解して指摘したときは山梨来て良かったと思いました。ほんと。
正直この頃になると僕はフラフラだったので唯の傍観者でした。



話は具体的なデッキの話に進みます。
まずアブザンの形を決めたいと。
そこで俊樹が出したのはアブザンアグロでした。

僕らの感想だと、アブザンアグロは除去が重く他のアブザンの下位互換の印象が強かったのですが、
出されたのアブザンアグロは胆汁病が4枚入ったアブザンアグロでした。
最近マルドゥが増えてきた事で採用していたらしいのですが、
実際このデッキは感触が非常に良かったです。

アブザンアグロにすると、使いたかった0/3 2/4ラインが使えるのでデッキ選択に幅が出ます。
まずシンプルに赤緑信心を試してみます。
この時ナベさんは予言していました。
「30分後に蜂だけ強いねって言ってる」と。

で30分後。

「やっぱり蜂だけだね」と。

こっからデッキ選択は難航します。
破滅喚起の巨人はやはり強いのでぜひ使いたいが黒緑のカラーリングは土地が・・
(※アブザンアグロで占術ランド4枚と緑黒ダメージランドが2枚使われているため)

ここで提案されたのが、思い切って青までいれてのスゥルタイ シディシウィップでした。

急いで形だけ作り上げ、仮組みでまわします。



5分


10分


30分


これは・・デッキだね と。


感想としては、
・悪くない。
・色マナの調整や細部の調整は必要なもののデッキであると。



もう既に朝日も顔を出した朝6時頃、
何とか日本出発前にチームスタンダードのデッキの候補が決まったのでした。



ここから実際のデッキが決まるまでにさらに紆余曲折あるのですが、
その話は後編でさせていただきます。

日本代表のスタンダードが決まるまで〈後編〉を読む
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