※ 前編はこちらをご覧ください

3つのデッキが決まって

やっと3つのデッキの概要がおぼろげながら決まったわけですが、この時点で火曜日の朝。
木曜日の朝には僕とナベさんはフランスに出発せねばなりません。
3つ目のデッキのシディシウィップの完成度はお世辞にも高いと言えず、練習も絶対的に足りていません。

あっという間に木曜日の朝を迎え、僕は大いなる不安と、
持てるだけのスタンダードのカードと共にフランスに旅立ったのでした。

フランスにて

人生初のフランス!!
僕のフランス旅行記はここらへん(前編/後編)を参考にしてもらうとして、
チームスタンダードのデッキはフランスにきて劇的な変化を!

遂げず、特に何の進展のないままワールドマジックカップ前日を迎えます。

GPだったり、ナベさんは世界選手権の練習だったり、僕は観光だったり。
あっという間に前日ですよ。

世界選手権が火曜日、水曜日とあり、木曜日が1日お休みで、金曜日から
ワールドマジックカップが始まるのですが、木曜日まで特に進展することもなかったと。
そしてやっとここで日本からアリャビマさんと清永さんが合流します。

日本代表合流

僕らにとって朗報だったのが、世界選手権に参加した山本賢太郎さん、
通称やまけんさんが使ったデッキがシディシウィップだったということです。



こんな身近にシディシマスターが!
ということで、色々なアドバイスを頂き、やまけんさんが使ったのをベースに
一部修正してできたのがこんな形。

4 サテュロスの道探し
4 森の女人像
4 クルフィックスの狩猟者
1 苦悶の神、ファリカ
4 血の暴君、シディシ
2 破滅喚起の巨人
2 イニストラードの魂
3 女王スズメバチ
4 思考囲い
2 英雄の破滅
1 スゥルタイの魔除け
3 エレボスの鞭
3 残忍な切断

2 ラノワールの荒原
4 華やかな宮殿
2 疾病の神殿
3 ヤヴィマヤの沿岸
3 汚染された三角州
2 神秘の神殿
3 森
2 沼
1 島
1 ヨーグモスの墳墓、アーボーグ

脳蛆が抜け、思考囲いをアブザンアグロからこちらに移した形。
苦悶の神、ファリカはやまけんさんのメインには入っていなかったものの、
同系相手に強いのは勿論のこと、破滅喚起の巨人との相性も良く
メインで問題ないとのことで採用しました。

シディシウィップのほうは目途が立ちましたが、逆に不安になってきたのがアブザンアグロ。

アブザンアグロの心配事項

胆汁病4枚入りのアブザンアグロが松本合宿の最後に出てきましたが、
いくつか心配事項があり、

1つはマナベース。
もう1つは軸が若干ぶれているということ。

マナベースはシディシウィップと2色が被っているので問題になるのは必然なのですが、
もう1つの軸のぶれというは、
風番いのロックや完全なる終わりが入っている関係でランドが多くなり
本来のアグロ的な動きができないことがあると。

よりアグロへ

試しに1マナの万神殿の兵士や血塗られた勇者を4枚ずつ入れたデッキを試してみます。



試したリストがこれ。

4 血に染まりし勇者
4 万神殿の兵士
4 荒野の後継者
1 ラクシャーサの死与え
4 羊毛鬣のライオン
4 包囲サイ
2 加護のサテュロス
3 先頭に立つ者、アナフェンザ

1 真面目な訪問者、ソリン

2 払拭の光
4 アブザンの魔除け
1 強大化
3 かき集める勇気


■問題点
万神殿の兵士が弱すぎる。
軍属童の突発のトークン1対と相討ちて!

血塗られた勇者も戻りにくい。
2マナ、3マナ、4マナとアクションしたいデッキなので余剰マナがあまりにくく勇者が戻りにくい。
地上での殴り合いが軸のため、盤面の硬直が起こりやすい。

しかし発見もありました。


■発見
かき集める勇気が強い。



先ほども述べたように、2マナ、3マナ、4マナと動くデッキなので
コンバットトリックを打つマナがないのですが、このカードであれば
マナを使わず打つことができます。

地上が硬直するということから、
飛行クリーチャーに注目してみました。
候補はいくつか出たのですが、
その中でもよさそうだったのが、責め苦の伝令。
加護のサテュロスより授与した時の恩恵が大きく、
環境的に飛行が強いと感じていたので、これを試してみる事にしました。


■アブザンアグロ WMC前日20時バージョン
4 荒野の後継者
4 羊毛鬣のライオン
3 ラクシャーサの死与え
4 先頭に立つ者、アナフェンザ
4 包囲サイ
3 責め苦の伝令

1 真面目な訪問者、ソリン
1 風番いのロック

3 胆汁病
4 アブザンの魔除け
2 英雄の破滅
3 かき集める勇気


テンポの良いクリーチャー展開、意外と読まれにくいかき集める勇気、
責め苦の伝令もそれなりに良さそうと言う事で、メインボードはこれで行く事に。

やっとこさ日本代表のチームスタンダードのメインデッキが決まりました。

土地以外は・・

マナの調整

デッキの根幹はできたものの、難しい問題が残っていました。
そう土地です。

シディシウィップとアブザンアグロを使うという事は黒緑のマナベースが被るという事を意味しています。
ラノワールの荒原、疾病の神殿だけでは2つのデッキの黒マナと緑マナの
供給をカバーする事が難しいのです。

そこで白羽の矢が立てられたのが、
ちゃりーんランドことジャングルのうろ穴の採用です。
(1点ゲインするときにちゃりーんと音が聞こえる気がするので!)



シディシウィップというデッキはどちらかというとコントロールよりのデッキなので
1点のゲインは意外に大事で、1枚増え2枚増え最終的に4枚採用するに至りました。


この段階で当初の予定時刻を大分越えていたので、サイドボードの検討に入ります。

サイドボード

シディシウィップは基本的にやまけんさんのサイドプランを流用。
軽蔑的な一撃をナベさんが使っている関係でそこは否認と
悪夢の織り手、アショクを2枚にリリアナ・ヴェスを採用しました。



リリアナ使えば全部1枚増しにカウントできるよ!と
残り少ない時間の変なテンションでひとしきり盛り上がった事をお伝えしておきます。

アブザンアグロのサイドは
何回か仮想敵とイン・アウトを試してこんな形に。

2 異端の輝き
2 自然にかえれ
1 消去
2 狩人狩り
2 悲哀まみれ
1 残忍な切断
1 英雄の導師、アジャニ
1 世界を目覚めさせる者、ニッサ
1 胆汁病
1 風番いのロック
1 真面目な訪問者、ソリン

正直時間が無さ過ぎて全てのデッキに対しての
ベストなサイドボードとは言えないものの、丸さ重視で決めました。



アジャニがいれば全部持って来れるよ!いけるいける!と
本当に残り少ない時間の変なテンションでひとしきり盛り上がった事をお伝えしておきます。


で、これが出来たのが大体0時を回ったあたり。
チームシールドの練習もやる予定だったのですが、そんな時間微塵もなく、
本当の土壇場で日本代表のチームスタンダードのデッキは完成したのでした。

WMCを終えて

結果だけ見ればDay1で敗退したものの、
スタンダードは3-1という成績で終える事ができました。

ほとんどの対戦相手は僕らがぶつかった壁
(青白ヒロイックやティムール、もしくは不完全な形のデッキ)
で止まっており、それを乗り越えてさらに進めた成果かなとは思っています。

ただ6回戦目に当たったハンガリーのチームは
3つのデッキが3つとも非常に考えられており、
少しの不運はあったものの、素直に負けたと言える戦いでした。
ハンガリーのデッキは公式のデッキリストに載っています

特に特筆すべきはサイドボード。
どのデッキにも長期戦を見越したカードが取られています。
(頭蓋書庫や開花の幻霊、各種PW等)



チームスタンダードは1/3でコントロール色の強いデッキに
当たる可能性が高いので、非常に理にかなったサイドボードと言えます。

僕らはメインボードこそある程度の完成度までは仕上げたものの、
記事を見て分かる通り、サイドボードの調整はほとんど出来ませんでした。

調整時間不足。

この一言で片付けてしまえるほど単純な事ではないのですが、
各地域に住んでいる日本代表がWMCの練習に使える時間は、想像以上に少ないです。
この記事を読んだ人がもしかして来年の日本代表になるかもしれないので、
元日本代表の僕から今回の教訓を。


「時間を大切に」
「4人で集まれる機会をより多く」
「オポ差7%あっても油断するなよ!」


以上で終わります。
またどこかの会場で会いましたらよろしくお願いします。

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